妊娠中絶(にんしんちゅうぜつ)

私のクリニックでは、妊娠初期の妊娠中絶手術(人工妊娠中絶)もおこなっています。

人工妊娠中絶は法律(母体保護法)にもとづいて行われます。
その法律にもとづかない妊娠中絶は、堕胎罪(だたいざい)という刑法の罪に問われます。

(たとえ、妊婦さんが、自身のお腹の赤ちゃんをおろそうと考え、自分自身で何らかの処置をして、
自身の子を中絶したとしても、その妊婦さんは堕胎罪という犯罪をおかした事になります)

大昔、私が学生の頃、土という小説でしたが、貧しい農婦が自分で中絶しようとして
<ほおづき>の茎を自分の腟にいれて中絶しようとして失敗し、感染症で死んでしまうとかいう話を読んだことがあります。
悲惨だったねえ。

人工妊娠中絶は、決められた医師が、決められた病院や医院内でのみ行う事ができます。
私(秋山)はその指定をうけた決められた医師です。そして、秋山クリニック内でのみ中絶手術を行えます。
中絶を受けようとする人は、一定の基準にあわないと中絶はできません。
だれでも簡単に中絶を受けられるわけではありません。
たとえば、妊娠22週以後は絶対に、絶対に妊娠中絶はできません(法律で禁止されています)。
妊娠21週(いわゆる妊娠6ヶ月の2週目)までが、中絶が可能な期間です。

中絶した場合は、中絶をおこなった医師から、国への届け出が必要です。
私のクリニックでも届出をしていますが、しかし人数の報告だけであって、
中絶をうけた人がわかってしまう様な個人名などの届出はしていません。
ですから、中絶をうけた人のプライバシ−は完全に守られています。

妊娠中絶手術は難しい手術ではありません。
しかし、子宮の内側の見えない場所を、いわば手探りで行う手術ですので、油断はできませんけど。

当クリニックは、原則的には、腰部硬膜外麻酔(ようぶこうまくがいますい)という麻酔を使います。
背中の真ん中の所の背骨の隙間に、局所麻酔剤(きょくしょますいざい)を注射します。

手術中にもはっきりと意識はあります。皮膚を触られる感じや引っ張られる感じはあります。
また、軽い吐き気がある人もいます。
痛みは、個人差も有りますが、月経痛のような感じが残る人もいます。
いずれにせよ、ひどい痛みではないようです。

点滴をしながら中絶手術をしますが、主に吸引手術(きゅういんしゅじゅつ)でおこなっています。

手術中は、時々休んで、超音波で子宮内をチェックしつつ、手術を行います。
だいたいですが、15分位かかって終わります。

下半身がしびれた感じがあり、足に力が充分入らないので、手術後2時間位は点滴をしつつ、安静室のベットで横になってもらいます。
皆さんは、寝ていたり、雑誌を見たり、スマホをしたりしているようですね。
付き添いの人はいりませんが、付き添いたい場合は、どうぞ、かまいません。
安静後は足のしびれなども完全にとれますので、看護師の説明後、特に問題がなければ、1人であっても、自分で車を運転して帰宅できます。

必要やむを得ない手術ですが、私は好きな手術ではありません。どうしても生命を奪うような感じがするからです。
妊娠の初期では、赤ちゃんはとても小さいのですが、いくら小さな赤ちゃんでも、嫌なものです。
全ての産婦人科医師は、止むを得ずにやっている手術だと思います。

なお、昔言われていた水子という考えは仏教にはありません。<水子のたたり>などというのは全くの迷信です。

妊娠中絶手術は、法律で、一定の条件付ですが、認められている合法的な治療です。
ですから妊娠中絶を受けたからと言って、引け目に感じる必要はありません。
一定の条件にかなった妊娠中絶は罪ではありません。

なお妊娠12週以後(妊娠第四ヶ月以後)の人工妊娠中絶では、死産届けも必要となりますし、
お墓に埋葬するための埋葬許可も必要となります。
先にも言いましたが、妊娠21週までの中絶は、法律的には可能だとしても、
出来るだけ早期に、遅くも妊娠第三ヶ月以内(妊娠11週まで)に中絶を受けるのが、きわめて重要です。

妊娠したと思ったらすぐに、迷わず、産婦人科に来ること。
(妊娠週数の計算は、結構面倒なんですよ。こちら
迷うなら、プロの医師と一緒に迷うこと。アマチュアの君達が、1人でくよくよ考えないこと。
私のクリニックでは妊娠第3ヶ月以内(妊娠11週まで)の妊娠中絶しかおこなってません。
それ以降の妊娠の場合は、他の病院や医院を紹介いたします。

中絶を考えているなら、できるだけ早く病院や医院に来ることです。
一緒に話し合って、相談しましょう。


むろん中絶をうける本人の同意書は必要です。同意書には署名とハンコを押してもらいます。
結婚している人では、配偶者(夫)の、同意書が必要です。
未婚や正式な結婚をしていない場合では、相手の男性の同意書が必要になります。
(ただし相手の男性がわからない場合や相手の男性が行方不明とかでは仕方ないので、女性本人だけの同意書になります)

この同意書に関しては、中絶を受ける人と相手の男性の、
一方が未成年でも、又はお二人とも未成年であっても、同意書は有効と言われています。
中学生程度では保護者の同意書は必要でしょうが、高校性くらいでは、親の同意書は必要ないと(私山は)思っています。
むろん、出来れば、親の同意書はあった方が、都合がいいのですが。
同意書で悩まないで、直ぐに来院してください。
同意書に関する悩みやトラブルや問題があれば、かならず相談に乗ります。互いに知恵を出し合いましょう。

外国人の方であっても、日本に滞在していれば、母体保護法のもとで人工妊娠中絶を行うことができます。

日本の中絶数(届け出された数)は令和2年で総数14万5340人でした。
秋田県では799人でした。そのほとんどは妊娠11週までの中絶です。

妊娠中絶の手術は保険が利きませんので自費診療です。病院や医師によって、この値段は異なります。

中絶の費用についてはこちら

当クリニックで人工妊娠中絶をうけるときの実際

(1)最初に受診した日
   診察した結果、妊娠と診断します。その後種々話し合いの結果、やむを得ず中絶することになった場合は、
   まず母体保護法に合致しているかを確認します。(ほとんどは合致しています)
   そして、中絶の日を決めて、中絶前の血液検査をおこないます。
   この中絶の為の検査費用は、自費で、約5000円です。中絶手術にあたっての細かい説明をします。同意書の説明もします。
   
   なお、最初の診察・問診の費用は、保険が使えます。場合によって異なりますが、2500円〜3000円位でしょう。
   (中絶のための検査費用は、上に述べたように約5000円で、別途かかりますよ)

(2)予約した日の朝に来てもらい、まず子宮の入り口を広げる器具を入れます。その後(数時間後)に手術します。
   中絶費用を支払います(中絶後に帰宅するときには事務員はいませんので、前払いになります)。
   手術までの空き時間は、一旦お帰りになり、簡単な用事を済ませる人が多いようです。食事はできませんよ。
   中絶費用は自費料金です。麻酔代や点滴代、薬品代など全てを含んだ金額です。
   手術後は2〜3時間、当院の個室の安静室のベットで安静にした後、帰宅します。
   通常、手術日は火曜日と木曜日の昼ころです。
   月、水、金曜日の昼を希望する場合には若干費用が高くなります。8000円位。
   月、水、金曜日の昼に手術を行うと、午後からの診療があるため、スタッフの昼食時間が無くなってしまうので・・・済みません。

(3)おおよそ手術の1週間後に来てもらい、手術後の経過を診察します。
   診察した結果問題ないときには、今後の避妊などについて説明したり、相談して、終了となります。
   特に異常のない場合は、診察料金は自費で約4000円になります。
   なにか特別の異常があれば、保険が使えることもあります。



                                                   2021年8月14日