更年期障害(こうねんきしょうがい)

日本人の閉経(へいけい、月経が止まる事)は平均50歳です。
その頃に、いろいろな症状がでますが、それを更年期障害といいます。
しかし多くの雑多なものが、更年期障害という言葉にいれられてしまい、どんな症状でも更年期障害として片付けられてしまっていました。

私の恩師の故九嶋勝司教授(元秋田大学学長)は、更年期障害には心身症によるものとホルモンによるものがあると言っていました。

心身症については
更年期付近は、もともと、いろいろなストレスのかかる時期です。
自分の健康の不調、夫の健康の不調、子供の自立や結婚、親や兄弟の病気や死亡、自宅も建て直さないと…などなどと。
このような心理的因子も考慮にいれて治療しなければならない病気を心身症といいます。
症状が辛いときには治療をします。
単なるホルモン療法だけではなかなか治らず、心理療法や精神安定剤を使わないとおさまりません。

もう一方のホルモンによるものは、
更年期にさしかかると卵巣の機能がさがりホルモンの値が下がる為におこります。程度は様々ですが、誰にでも起こります
それがきっかけで自律神経の失調がおこります。
九嶋教授は単にホルモンが下がる為にホルモン全体のバランスが悪くなり、それが脳の一部に悪影響を与えるのだと述べていました。
主に<のぼせ>が出現します。
<のぼせ>とは、突然に、上半身が、ポ−として暑く、赤くなり、汗をかきます。
間もなく(数分位でしょうか)治まりますが、この発作を一日の内に何度もおこします。

<のぼせ>が主な症状ですが、<のぼせ>以外にも、しびれや肩こりなどの症状が一緒にでます。
これが、しばしば聞かれる(ホルモンによる)更年期障害だと思います。

更年期障害であっても皆治療が必要なのではありません。症状がとても辛いときのみ治療します。
私は、一日に数え切れない程の<のぼせ>がでるようなものは治療が必要と思っています。
更年期障害の内でのこの様な<のぼせ>は、ホルモン療法で割に簡単におさえることができます。
ホルモン薬では飲み薬とか、貼り薬をつかいます。今は注射は使っていません。
また漢方薬もつかうことがあります。

更年期障害と云われるうちで、冷え性というのが最も治療が難しいと私は思います。
冷え性は単なるホルモン不足の為ばかりではなく、心理的な原因も強いのかもしれません。
心身症や更年期障害以外の原因でも冷えはおこります。
以前、私が秋田大学にいたころには、秋田大学心療センタ−の故長谷川講師とともに、入院してもらい
約2週間程度の絶食療法を行っていました。
なかなか治らなかったですねえ。思えば絶食療法を行っている施設も少ないだろうなあ。

2021年8月14日