子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)

最近は子宮内膜症が増えています。
子宮内膜症はなかなか理解しにくい病気だと思います。いろいろと患者さんに説明しても、結局うまく伝わりません。

私は次のように患者さんに話します

子宮内膜は、子宮の内側にある柔らかい膜のようなもの(組織)です。
原因はよくわかりませんが、その子宮内膜の小さな小さな部分が、本来の子宮の内側だけでなく、
子宮の筋肉の中や卵巣(らんそう)、さらに子宮付近の腹膜(ふくまく)にも、散らばってしまう病気です。
子宮内膜は、ホルモンに反応してはがれて出血します(それが月経なんですね)。
ですから、卵巣などに存在する小さな見えない子宮内膜も、ホルモンに反応して、生理の時に、そこでもわずかに出血します。
それが何回も繰り返すと、その卵巣に出血がたまってきたり、さらに出血したところに癒着(ゆちゃく)したりします。
症状は、強い月経痛です。さらに癒着のために不妊症になったり、性交痛(セックスの時の痛み)や腹痛の原因にもなります。
特に卵巣の子宮内膜症で、血液が卵巣にたまり嚢腫(のうしゅ)になったものを、
血液の色がチョコレ−ト色に見えますので、チョコレ−ト嚢腫(のうしゅ)といいます。

子宮内膜症の治療

治療はさまざまです。
手術方法とか、腹腔鏡で手術したり焼いたり、ホルモン治療をおこなったり、さまざまです。
子宮内膜症で苦しんでいる患者さんの話から、つまり本人の年齢、子供さんの数や年齢、子宮内膜症のひどさなどで治療法を決めます。
最近は(2021年)、様々なホルモン剤が販売されていて、使えます。

さらに、月経痛がある人が、すべて子宮内膜症にかかっているわけではありません。
筋腫ために月経痛がある人もいます。

月経困難症(げっけいこんなんしょう)

月経困難症は月経痛のことです。
多かれ少なかれ月経には多少の痛みが伴いますが、月経痛は治療することが必要です。
軽い月経痛に対しては、市販の鎮痛剤などを手に入れ使っている人も多いようです。
でも、癖になるからと思って、月経痛を我慢して我慢して、とうとう我慢しきれなくなり、
そして最後になって、少し薬を使うというのは、最もまずいやり方です。
必要な時に、十分な量の薬を、早めに使うことが大切です。
月経の時にだけ飲むので、長年、薬を使っていても、癖になったりしません。

月経痛があって、学校や授業、家事や仕事などの差し障りがある場合には、私はホルモン治療を勧めます。
たとえ中学生や高校生でも勧めることがあります。実際に使っている人もかなりいます。
はやめにホルモンを使って子宮内膜症の発生を予防するのだという医師も居ます。
月経痛ばかりではなく、月経の量も少なくなり、順調に月経があるので、
「もっと早く使えば良かった」、とか「めっちゃ、楽」などと言う人も多いですねえ。
たかが月経痛と言わないで相談に来てください。
ある人が計算したら、女性の一生で月経日の合計は4年間という人がいました
この4年間をどう過ごすか・・・・問題ですねえ

                                2021年8月14日