子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)

子宮筋腫とは、子宮の筋肉にできる「こぶ」です。人間の体は沢山の筋肉でできているのに、筋腫は殆んどが子宮の筋肉にできます。ですから筋腫といえば子宮筋腫のことをさすくらいです。

小さな子宮筋腫も含めると、多くの女性が子宮筋腫を持っています。
集団検診をしていますと、かなりの人に筋腫が見つかります。

子宮筋腫をもっていても、何の不都合もない人が結構沢山います。
その場合には、特になにもせず、定期検診だけで良いでしょう。

しかし
子宮筋腫のために日常生活に差し障りのある月経痛
子宮筋腫のために過多月経があり、そのために中等度以上の貧血がある人
子宮筋腫のために不妊症になっていると思われる人
子宮筋腫があまりにも大きい人
このような場合には何らかの治療が必要でしょう。


治療としてもっとも簡単なのは薬物療法
月経痛だけがひどい場合には痛み止め。筋腫もあまり大きくなく月経痛がひどいときには痛み止めでよくなる人もいます。
月経の量が多く、筋腫が大きくない場合には、ピルなどのホルモン療法が効く場合もあります。

ホルモン注射で月経を一時的に(半年位)しばらく止める方法もあります。
筋腫自体も小さくなります。症状が軽かったり、閉経が近い場合には行います。
比較的若い人で症状が強い場合には、注射の金額が高価である事と筋腫が再び大きくなる事で私はあまり行っていません。

閉経(へいけい)にかなり近い人は、症状が強くても、必ずしも手術しない場合があります(閉経は平均50歳です)。

次に子宮の内側を焼く方法があります。正式にはマイクロ波子宮内膜アブレーションと言います。小さな筋腫は焼いてしまいます。
電子レンジと同じ方法で内膜を焼いてしまいますので、月経量は少なくなります。
以後の妊娠は希望しない人向きです。入院は不必要です。保険も効きます。痛みは全くと言っていいほどありません。
現在(2012年5月)の所、秋田県では秋田市の山王レディ−スクリニック(院長:津田晃医師)でしか行っていません。
ですから、必要な方には、当院で必要な検査、説明を行ったうえで、山王レディ−スクリニックを紹介します。
なお津田医師は私とも雄勝中央病院で一緒に働いた友人です。山王レディ−スクリニックのホ−ムペ−ジもあります。

次に、手術に関しては、子宮全部をとる場合と筋腫のみを取る場合があります。
もう子供さんが要らない人は、普通は筋腫をふくめて子宮を全部取ります。
むろん子供さんが欲しい人や未婚の人では、子宮をとらずに筋腫だけとることは当然でしょう。

手術方法はお腹を切る腹式手術(ふくしきしゅじゅつ)と膣から手術する腟式手術(ちつしきしゅじゅつ)があります。特殊な方法としては内視鏡を使う方法もあります。
筋腫だけとる場合には、特殊な場合以外は、腟式手術はできませんので、おなかを切って行う腹式手術になります。

私が行う手術は、ほとんどの場合が腟式子宮全摘(ちつしきしきゅうぜんてき)でした。
膣(ちつ)から手術して筋腫を含めて子宮を取り去ります。
膣を切るのでおなかを切開する必要がありません。傷跡が残りませんし、手術後の経過も楽です。
筋腫が大きすぎたり、筋腫が周囲と癒着(ゆちゃく)している場合には、おなかを切る腹式(ふくしき)手術をする場合もありますが、かなり少ないですね。

私が秋田大学に勤務していたとき、恩師の一人元弘前大学教授の斉藤先生から腟式手術を学びました。斉藤教授は函館に勤務していたときに日本の腟式手術のメッカであった札幌医大で研鑚なされたとの事でした。
よって私の腟式手術方法は、間接的ではありますが、札幌医大式なのでしょう。

2008年から私自身は、子宮の手術をしないことにしました。信頼の置ける他院を紹介します。

最終更新2012年10月31日